2009年1月28日水曜日

さらなる「マスコミ増幅不況」を防ごう

(日付は1月28日ですが、以後、少しずつ、内容を加えています。コメント欄にも、日々新しい内容が加わっています。ぜひごらんください。)

急激な雇用環境の悪化に対抗するひとつの方法としては、
不況のニュースに対する過剰反応を打ち消すことがあると思います。
また、不況を煽るだけの目的のニュースに疑問を持つことがあると思います。

そのために、マーケティング的な発想ですが、
「100年に一度の」に対抗するキャッチコピーを考えようと思います。

例えば、「マスコミ増幅不況」

いまいちと思われる方、もっと良い言葉を流布していただけませんか。

ポイントとしては、不況が情報によって増強されていること、
その情報が必ずしも正しくはないこと、作為があり得ることに、
すぐに気づく言葉になっていることです。

本当は、もっと面白い、目を引く、良い言葉があるはずですね。
パロられる、簡単に変形、応用できるものの方が最終的には力を持ちます。

マスコミに期待できないのが、大きなハンディですけど・・・

(この部分1月30日追記)
NewsWeekに、サブプライム問題は実はそんなに大きな問題ではないのではないか、
という記事が出てました。本当とすると、サブプライム問題をきっかけとした今回の不況(恐慌)は何なのでしょう?
http://outsidervoice.com/NW20090204.pdf
(なるべく早く読んで欲しいと思い、記事を勝手にPDF化しています。興味のある方は、本誌のご購入をお願いします。)

今回の不況をマスコミが原因のひとつと考えている人の割合も増えているようです。
その辺を分析されているブログがありました。

http://www.gamenews.ne.jp/archives/2009/01/1_72.html

http://www.gamenews.ne.jp/archives/2009/01/22_10.html

http://www.gamenews.ne.jp/archives/2009/01/3_125.html


(1月31日追記)
いろんなグラフが新聞などに出てきたら、一応、その作為を疑ってみましょう。いろんな典型的な作為を上げておきます。

一番多いのが、グラフが劇的に見える期間の切り方。ある期間で見ると、すごい危機に見えるグラフでも、それ以前の期間の数値も見えるグラフでは、「まあ、こういう変動もあり得るよな」と思えることがしばしばあります。

予測値をより劇的に見えるように加える(なんか途中から点線になっていたら、これ)。

数値自体では劇的でない場合、変動幅を持ち出す(今のように、あらゆるものが即座に情報に反応する世界では、変動幅はいろんな分野で大きくなっています)。

影響の大きかったカテゴリーに絞って、それを大きなグラフにする(一般的な動きであるような錯覚が生まれます)。

他にもいろいろありますが、とりあえず。


(1月31日追記)
解雇の理由として最も説得力を持っている、赤字が膨らむ企業の決算予想ですが、私は「便乗赤字決算」の可能性を疑っています。経理に詳しい方、修正時に、どういう項目が加わったか、それは赤字を膨らませる、あるいは、赤字に対する抵抗の少ない今期に、負の遺産を処理するために追加されたものでないか、チェックしていただけないでしょうか。(コメント欄も参照ください)


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「100年に1度の危機」とか津波とか言い始めた人です。

http://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPnTK822019320080804

いろんなところで語ってます。

http://money.cnn.com/2008/09/14/news/economy/greenspan/
http://www.msnbc.msn.com/id/27335454/

麻生首相も年末に使ってたんでしたっけ? きっと流行語大賞です。

で、いつの間にか、ゆるぎない真実になってません?
あくまで、ひとりのじいさんの言葉ですよ。
まあ元非常に偉い立場の人ですけど、詳細な分析を行った上での話とは思えませんが・・・。

で、NYダウの動きです。
http://finance.yahoo.com/echarts?s=%5EDJI#chart1:symbol=^dji;range=1y;indicator=volume;charttype=line;crosshair=on;ohlcvalues=0;logscale=on;source=undefined

「このじいさんが、ネガティブ情報の浸透のために頑張って、株価をより確実に下げた」
という風に言って、 時期的にも何の矛盾もない動きです。
(もちろん、このじいさんの予言がこんなにすぐに当たったみたいな言い方もできます。
が、株価は実際は、ほとんど感情の反映です。影響がなかったと考えることには無理があります。)

株をやる人だったらわかると思いますが、 予知できるのなら、
上がっても下がっても儲ける方法があるんですね。
これほどわかりやすい合図であれば、
考えすぎる人以外は、かなり儲かったはずです。

錬金術の崩壊みたいにいわれていますが、
これで復活できたヘッジファンドなどもあるのではないでしょうか(ここ、あくまで推測)。


今までよく登場していたのが、バフェットおじさんです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88

この人が上がると言ったら上がってました。下がると言ったら下がってました。
「ました」というのは、昨年春以前の話です。

嘘みたいな笑える話を書きますと、
この人は自分でメディアを持っており、一度、彗星衝突のデマを流して、
その日の日本の株価を急落させたことがあります。
時事通信(記憶曖昧)&Yahooニュースが、この馬鹿ニュースを訳して伝えたんですね。

それも、最も影響のある昼休みの時間に。
自分も、友達にこのニュースを伝えたんで(はい馬鹿です)、記憶に残ってます。
その日の株価ニュースには「彗星衝突の話と株価急落を結びつける見方もあるが、その証拠はない」
みたいな記事が出ました。

とにかく、この人の言葉は影響力甚大だったのですが、
株価がそれに従わなくなった時期は、やはり、市場が非常に混乱していたのでしょうか。

グリーンスパンのインパクトのある言葉によって、混乱が収まって(上がるか下がるか見える人には見え始め)、
そろそろ、また、バフェットおじさんの指揮という通常のパターンに戻るのかも知れません。


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実は、「なんだ、大したことなかったな。思ってたより、この不況。」という記事が、

アメリカの広告業界から出始めています。広告業界の動きはだいたい他に先行しますが、さてどうなるでしょう。
http://www.adweek.com/aw/content_display/news/digital/e3ic96aa80f511fb30f1d0cd4313f0dc9c3

でも、私の周囲の雇用環境も今、非常に悪化しているのは事実です。
しかし、これが、意図して大きくされた津波の影響としたら・・・



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少し話の角度を変えます。

ちょっと古いですが「雇用確保の緊急決議」が国会で全会一致で採択になりました。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090108k0000m010043000c.html

全文の貧弱さに笑えるように、別段本気ではないと思います。

ところで、記事の中に、以下の文があります。
「参院事務局によると、こうした趣旨の決議は86年12月に衆参両院で「雇用の安定に関する決議」が採択されて以来22年ぶり。」

86年12月の決議はこんなものです。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/san60/s60_shiryou/ketsugi/107-12.htm

で、それ以降、労働環境にとってどんなことが起こったか調べてみました。
86~89年の急激な労働分配率の低下です。つまり人件費の抑制。
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban/pdf/et08_220.pdf
(余分な情報ありますが、資料1をごらんください。)

そのあと上昇しているのは、主に失われた10年という不景気のせいです(企業収益自体がシュリンク)。
アメリカの90年からの急激な景気上昇に対して、日本が同じように立ち上がれなかったのは、
86~89年の賃金抑制が効いているように感じていますが、証拠は今、持ってませんし、

賃金と景気との関連の研究にも、なかなか出会えません(あったら教えてください)。


89年に、日弁連は以下のような決議を出していたりします(少し状況がつかめるでしょうか)。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/hr_res/1989_1.html

ところで、労働分配率に関する報道ですが、2003年以降しばらく、
日本経済新聞は、「労働分配率下げ止まり」報道をしていました。
(分配率が下がり続けた時期にです。見出しに「労働分配率下げ止まり」と大きく書いてあって、
本文を見ると、「そろそろ下げ止まりではないだろうか」みたいな内容になっているという体裁の記事です)

そのあとしばらくして、労働分配率の低さが注目され、労働組合なども引き合いに出すようになりました。

が、最近は、また上昇してきていたからだと思いますが、みんな、言わなくなってきていました。
でも、先にリンクした論文では、「長期均衡水準を下回っている」と書いています(直近は少し高くなっているかも知れませんが)。

結論ですが、不況報道に気をつけないと、その間に、労働者全体が
必要以上の悪条件を受け入れてしまう可能性があるということです。
特に1~2月は、元々消費の低い季節です。決算も赤字を膨らませる操作が可能です。
実際に行われているのに気づいている人も多いでしょう。


セイフティーネットは少し進展するかも知れません。企業の負担になりませんから。
しかし、企業の雇用安定に好影響を与えるような政策が実際に行われるのか、気をつけたいと思っています。


(2月1日午前0時追加)

最後まで、読んでくれてありがとうございます。

マスコミを責めるのは、俺達を責めること。

しかし、マスコミを変えることは、俺達も変えることだ。

だから、責めていかないとね・・・。

でも、ちょっと、遅かった・・・?

でも、諦めるわけには・・・。食っていきたいし。

GDP予測値、すごい数字が出てるけど、

解雇を我慢する企業が格好良く見えるような報道が始まったら、

なんとか早い段階で、挽回できるような気がする。