2008年5月2日金曜日

クレームが無意味な理由

Amazonに何か質問すると回答はバラバラだし、だいたいは質問にも答えていないし、食い違ったオーダーがいろんな担当者から来たり、依頼を受けて緊急納品したらそれが長期間在庫に反映されないとかあって、それらに対していちいちクレームをメールしてきたのだけど、それが無意味な行為であると悟ったのは、つい先ほど。

最近、クレームをしている最中に虚しい気持ちになる人は多くないだろうか。カスタマーサービスという肩書きでクレームを受けている人々には、何かを改善しようという意思はない。会社は、改善のために彼らを雇っているのではなく、単にクレームを受ける人として雇っている。マネージャーに改善の提案などしたら、困った人間を雇ったと思われるだけだ。また、改善のことについて考えるほど、彼らの労働条件は良くない。そんな時間があったら、寝るほうが彼らのためでもある。

クレームをする俺達も、受ける人たちも、ある意味仲間だ。影響力のない、どうでもいい人間達として。

世界は、俺達とは関係のない別のところで動いている。Amazonで考えると、かなりわかりやすい。Amazonは何かと言えば、利益を稼ぎ続けるそのアルゴリズムと、それを駆動するコンピュータ・プログラムだ。それを改善する役割を担った人間達に届かないクレームは、クレームでさえない。彼らにとっては、遠い世界の人間の発散行為みたいなもので、ほとんどはどうでもいい。取り入れる価値があるクレームは、さらに利益を上げることに役立つ情報を含むクレームだけだ。有用なクレームだけを情報として受け取ればそれでいい。その場でクレーム(システムの不備)に対処することなどは、システムに与える負荷やリスクが高すぎるので、禁止事項になっているはずだ。

何よりも一番重要なのは、今利益を出しているシステムが、そのまま存在し続けること。カスタマーサービスは、クレームを弾き返したり、なだめたりすれば、それが彼らの給与分の仕事だ。システムに関わる天上人に静かに仕事をさせさえすればいい。

クレームをたくさんすることは、天上人以外の人の雇用を促進するかも知れないとも思うが、その前に天上人は、クレームをしにくくなる障害を設置する方法を容易に考えつく。もし、あなたが、Yahooなどに何か文句を言いたくなったら、既に大方はそういう仕組みになっていることに気づくだろう。

システムがあなたに希望しているのは、単に、死ぬまで、使える金を使い尽くすことだけだ。システムの大部分をコンピュータが担えば、感情という障害が無い分システムの意思は強靭になる。

多くの人が古臭いと思っている1984みたいな世界が、今頃、かなり現実のものになった。国内的には格差社会とか、世界的には飢餓とか、それらは全て、この辺とリンクしているはずだ。

これをひっくり返すのは、普通に考えて相当大変だよね。システムは既に、天上人のアホな役回りに気づかない頭の悪い人間を、天上人として揃えるというシステム保守体制を完成させつつあるように見えるし。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

初めてコメントします。
僕が今感じている自分の属している組織でも、
同じようなことが起こっています。

僕はあまりクレームを唱えること自体が好きではないのですが、
それはクレームを唱えることに満足する人、
また、そういう「アンチであるというポジション特有の利得」(野党みたいな)のみを
足場にする人に違和感があるからだと思うんですが、

一方で、そういう自分に無責任さも感じてしまいます。

これをひっくり返すためには、
個々人が「自分の力」で金を稼ぐこと、
その歯車がかみ合って飢えが減ることが、
自尊心が高まることが、必要なんでしょう。
中途半端にやると、ただすすんで文明から疎外されに行くようなもんだと思ってしまいます。

outsidervoice さんのコメント...

うーん、「自分の力」で金を稼ぐというのが、どういう状態のことなのか、わからないので、ちゃんと応えられないのですが、歯車のかみ合わせを乱すことの方が、たぶん、最良の方向では、と今は考えているんです。確信無いけど。